HYROX(ハイロックス)の練習方法とメニュー|普段のジムでできる練習・練習期間の目安

HYROX初心者の練習は、①走る習慣と基本の動きをつくる、②種目の動きを教わる、③種目のあとに走る練習をする、の順で進めます。8種目のうちスレッド(そり)の2種目以外は普段のジムでも練習できるので、専用の器具は「教わる日」に絞って使えば十分です。
この記事では、HYROX公式の準備ガイドと26/27シーズンのルールブック、指導者やトップ選手が公開している助言をもとに、練習の進め方をまとめました。8種目の内容やルールの全体像はHYROXの入門ガイドをご覧ください。
練習を始める前に知っておきたい2つのこと
レースの半分はラン。しかも疲れた脚で走る
HYROXは、1kmのランと1つの種目を交互に8回繰り返す競技です。走る距離は合計8km。HYROXの公式準備ガイドは、最初のヒントとして「ランがレースの50%」を挙げています。
ただ走れるだけでは足りません。スレッドを押した後やバーピーで心拍が上がった後に、次の1kmを走ります。公式ガイドはこうした「疲れた状態で走る練習(コンプロマイズド・ランニング)」を取り入れるよう勧めています。
回数に数えられない動きがある
HYROXには種目ごとに動きの基準があり、満たさないと警告やタイムペナルティになります。ウォールボールは警告なしで、基準を満たさない1回はそのまま数えられません。練習の早い段階で基準を知っておくと、自己流の癖がつきません。
| 種目 | 初心者が引っかかりやすい基準(26/27ルールブック) |
|---|---|
| ウォールボール | しゃがんだとき股関節が膝より下まで下がること。ボールが指定の高さのターゲットに当たること |
| バーピーブロードジャンプ | 胸が床にはっきり触れること。両足そろえて踏み切り、両足で着地すること |
| サンドバッグランジ | 後ろ脚の膝が床にはっきり触れること。毎回、膝と股関節を伸ばして立ち上がること |
基準はシーズンごとに見直されることがあります。出場前にはHYROX Japanのルールブック(日本語版あり)で最新の内容を確認してください。
最初に、いまの体力を測ってみる
何から始めるかを決めるには、いまの体力を知るのが近道です。HYROXには、公式の体力テスト「PFT(フィジカル・フィットネス・テスト)」があります。スレッドもSkiErgも使わないので、ローイングマシンがあるジムならほぼ同じ内容を試せます。
| PFTの内容(HYROX Japan公式) |
|---|
| 1,000mラン |
| バーピーブロードジャンプ 50回 |
| その場でのランジ 100回 |
| ローイング 1,000m |
| ハンドリリース・プッシュアップ 30回 |
| ウォールボール 100回(男性6kg・女性4kg) |
公式サイトでは、かかった時間ごとに合う部門の目安を示しています(15〜25分ならシングルのオープンかプロ、25〜35分ならオープン、30〜40分ならダブルス、35〜45分ならリレー)。いきなり全部を通せなくても構いません。「どこで止まったか」「どの動きが苦しかったか」を書き留めておくと、次に練習することが決まります。
詳しくはHYROX Japan「フィットネスレベルをチェック」をご覧ください。
練習は3つの段階で進める
最初から本番と同じ形で練習する必要はありません。毎回レース形式にすると疲れがたまり、動きも雑になります。次の順で、少しずつ組み合わせていきます。
| 段階 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| ① 土台づくり | 会話できるペースで走る習慣をつくる。スクワット・ランジなど基本の動きの型を覚える | 走り続けられる時間を少しずつ伸ばす |
| ② 種目を教わる | スレッド、SkiErg、ウォールボールなど、使ったことのない器具の動きと判定の基準を教わる | 教わった動きを1人で再現できる |
| ③ 組み合わせる | 種目のあとに走る練習を入れる。最初は1〜2種目と短いランから | 種目のあとも動きが崩れずに走れる |
普段から走っている人は②から、筋トレ中心の人は①のランから
出発点によって、力を入れる段階が変わります。
- 普段から走っている人:ランの習慣はそのまま生かせます。足りないのは器具の経験なので、②の「教わる」を早めに入れます。
- 筋トレが中心の人:重いものを持ち上げられることと、種目の間に8kmを走り切れることは別の力です。①のランを週の予定に入れるところから始めます。走り続けるのが難しければ、途中で歩いても構いません。
- 運動の習慣が少ない人:大会の種目表に並ぶ距離・回数・重さは本番の量で、最初の練習の量ではありません。続けられる運動から始め、初心者向けのクラスで動きを教わります。
痛みや体調に不安があるときは無理をせず、必要に応じて医師に相談してください。
週2回なら「基礎の日」と「種目のコツを学ぶ日」に分ける
週2回しか時間がとれない場合は、次のように日を分けると、体力づくりと種目の練習を両方続けられます。
- HYROXの種目とは関係ない、基礎的な体力づくり(筋トレ、ランニング)
- HYROXの種目のコツを学ぶトレーニング
週3回とれる場合について、Red Bullの取材でコーチのTiago Lousa氏は「完走が目標ならよく組み立てた週3回で十分」と話し、次の3つを挙げています。
| 週3回の組み方(Tiago Lousa氏の例) |
|---|
| 1. 長めの一定ペースの有酸素(ラン、バイク、ランとエルゴの組み合わせのどれでも) |
| 2. ランジ、スクワット、プレス、スラスター、キャリー、エルゴなど、HYROXに関係する動きでの筋持久力 |
| 3. ランが中心の日。レースが近づいたら、ランと種目を組み合わせてペース配分を練習する |
③の「組み合わせ」は短く始める
種目のあとに走る練習は、1〜2種目と短いランから始めます。組み合わせの練習では、次の3点を振り返ります。
- 種目に力を使いすぎて、次のランで大きくペースが落ちていないか
- 走ったあとでも、教わった動きで種目を続けられるか
- 急ぐあまり、判定の基準を満たさない動きになっていないか
初心者向けの練習メニューの例
HYROXの公式関係者や指導者が紹介しているメニューから、初心者が取り入れやすいものを選びました。回数や距離は、いまの体力に合わせて半分程度から始めて構いません。
ランとバーピーブロードジャンプを交互に(HYROX Academyの例)
HYROXの指導者育成を担うHYROX Academyの担当者が、Red Bullの記事で紹介している練習です。器具を使わないので、走れる場所と広さがあればできます。
| 内容 | 回数 |
|---|---|
| 300mラン → バーピーブロードジャンプ50m → 300mラン | 5〜6ラウンド(ラウンドの間に90秒〜2分休む) |
ランとウォールボールなどを短くつなぐ(HYROX Academyの例)
同じ記事で紹介されている、ランと種目を細かく切り替える練習です。サンドバッグがない場合は、省いて行っても構いません。
| 内容 | 回数 |
|---|---|
| 200mラン → ウォールボール10回 → サンドバッグを担いで15m → 200mラン | 6〜8ラウンド |
ウォールボールだけを1分ごとに(EMOM)
1分ごとに決めた回数を投げ、残りの時間を休みにする練習です。Red Bullの記事で、HYROXの解説で知られるGreg Williams氏が紹介しています。100回を分けて投げる感覚をつかめます。
| 内容 | 回数 |
|---|---|
| 毎分10回を投げる | 10分間(慣れたら毎分の回数を増やすか、休みを短くする) |
どのメニューも、判定の基準を満たす動きで行うことが前提です。疲れて動きが崩れてきたら、回数を減らしてください。
普段のジムでできる練習・できない練習
HYROXを始めても、練習をすべて専用ジムに移す必要はありません。ランや筋トレ、代わりの器具でできる種目は普段のジムで続け、代わりが効きにくい種目だけを専用の器具で教わる、という分け方ができます。
| 種目 | 普段のジムでの練習 | 専用の器具で教わりたいこと |
|---|---|---|
| SkiErg | △ 置いているジムは限られる | 腕だけで引かず、体全体で引く動き |
| スレッドプッシュ・プル | × 代わりが効きにくい | 重いそりを押す・引く感覚、体の角度、ロープのたぐり方 |
| バーピーブロードジャンプ | ○ 器具なしでできる(広さとジムのルールを確認) | 着地から次のバーピーへのつなぎ |
| ローイング | ○ ローイングマシンがあればできる | 脚→体→腕の順で引く動きと、器具の設定 |
| ファーマーズキャリー | ○ ダンベル・ケトルベルでできる | レースの重さで長い距離を運ぶ感覚 |
| サンドバッグランジ | △ ダンベルで代わりはできるが、担ぎ方が違う | サンドバッグを肩に担いだ姿勢と、後ろの膝を床につける深さ |
| ウォールボール | △ メディシンボールと、投げてよい壁があればできる | しゃがむ深さと、決められた高さのターゲットへの投げ方 |
ボールを壁に投げる、そりを引きずるといった練習ができるかは、ジムによって違います。必ず施設のルールを確認してから行ってください。
ボールも壁もないジムでのウォールボール練習
ボールや高い壁がないジムでは、プレートを2枚重ねて胸の前で持ち、ウォールボールのフォームでスクワットする練習ができます(例:5kg×2枚、10kg×2枚)。前に傾いたり手首が倒れたりするとプレートが滑るので、フォームの確認にもなります。
ボールを投げられる環境があれば、深くしゃがむ練習と、ターゲットに当てる練習をしておきましょう。
スレッドは、本番前に一度は実物に触れておく
スレッドは、普段のジムで代わりを見つけにくい種目です。脚の筋トレ(スクワットやランジ)で力の土台はつくれますが、そりの重さや床との滑り具合、ロープをたぐるリズムまでは再現できません。HYROX公式サイトも、スレッドは事前に一度試しておくよう勧めています。
公開されている初出場者の体験記を読むと、スレッドプルで大きく時間を失った人の多くは、本番で初めて実物を引いていました。一方で、事前にコーチに習った人はこの種目を得意にしています。専用の器具は、毎回使わなくても「教わる日」に絞って触れておく価値があります。
初出場でつまずきやすい5つのポイント
練習の段階で気をつけておくと、本番で慌てずに済むポイントです。
1. 最初の1kmとSkiErgで飛ばしすぎる
公式の準備ガイドは「スタートで飛ばしすぎない」ことを挙げ、HYROXをハーフマラソンに近い持久系の競技と説明しています。SkiErgは1種目目なので、ここで腕を使い切ると後の種目に響きます。順位を気にせず、自分のペースで入りましょう。
2. ウォールボールを「何回ずつ投げるか」決めていない
100回を何セットに分けるかは、事前に決めておきます。決めずに投げ始めると、動けなくなるまで続けてしまい、2セット目から苦しくなりがちです。練習では「20回×5」から「25回×4」のように、休む回数を少しずつ減らしていきます。汗でボールが滑ったり、疲れてしゃがみが浅くなったりしてノーレップが続く例も多いので、ランのあとに投げる練習もしておきます。
3. サンドバッグランジで脚を使い切る
ランジは7種目目で、その後に最後のランとウォールボールが残っています。ランジの後の最後のランは、多くの人がペースを大きく落とす区間です。ランジは頑張りすぎず、淡々とこなして脚を残しておきます。
4. ランの周回を数え間違える
1kmのランは、会場によって何周かに分けて走ります。周回は自分で数える決まりで、会場のスクリーンはあくまで補助です。周回が足りないとタイムペナルティ(1周だけの会場では失格)になります。練習のうちに、1周分のタイムの目安を知っておくと数え間違いを防げます。
5. 脚のつりや補給を、本番で初めて試す
後半に脚がつった、という声は体験記でもよく見かけます。水分や補給食の取り方は、長めの練習のときに試しておきます。補給食はスタート時から自分で持って走る決まりです。
大会までの練習期間の目安
必要な期間は、いまの運動量と目標によって変わります。参考になる目安には幅があります。
- コーチのTiago Lousa氏(Red Bull):週3回の練習なら、レースの最低15〜16週前から
- 世界王者のJake Dearden選手(Red Bull):出場するなら現実的には6〜12週ほど
公開されている初出場者の体験記では、1か月半〜4か月ほどの準備で完走している例が多く見られます。完走が目標なら、まずは走る習慣をつくり、スレッドなどの器具に一度は触れておくことを優先しましょう。
出場したい大会が決まっている場合は、部門・いまの運動量・練習できる日をコーチに伝えて、計画を相談してください。参加費や申し込みの流れはHYROXの参加費ガイドにまとめています。
練習場所は「自主練習か、指導付きか」で選ぶ
初めて使う器具は、指導付きのクラスで教わるのが近道です。扱い方が分かっていれば、器具を借りて自主練習する方法もあります。初回の予約では、次の3点を確認すると選びやすくなります。
- 対象者:HYROX未経験でもよいか、運動を始めたばかりでもよいか
- 指導内容:器具の使い方と判定の基準から教わる時間があるか
- 負荷の調整:重さや回数を、自分の経験に合わせて変えられるか
HYROX公式サイトも、どこから始めればよいか分からない場合は、近くのHYROXトレーニングクラブで認定トレーナーに相談するよう案内しています。
本八幡でHYROXを練習するなら
THE PICKLE BANG THEORYは、本八幡駅徒歩1分のHYROX公式トレーニングジムです。SkiErg・スレッド・ウォールボールなど、公式8種目に対応した器具をそろえています。初めての方の入り口は2つあります。
- 平日の夜:「HYROX TRAINING @ DAISUKE CLASS」ビギナーの部。HYROX初心者の方、初めてHYROXに取り組む方向けのクラスです。
- 土日の朝:初めての方向けの「HYROX体験会」。種目の内容と器具の使い方をご案内します。毎月開催しています。
普段は近くのジムで走る・鍛える練習を続け、スレッドなど専用の器具は当館で教わる、という使い方もできます。開催日と申し込みはHYROX体験会・クラスの開催案内で確認できます。器具の扱いが分かる方は、エリアを借りて自主練習もできます。設備はHYROXエリアの紹介ページをご覧ください。
よくある質問
週に何回練習すればいいですか?
週2回なら「基礎体力づくりの日」と「種目のコツを学ぶ日」に分けるのが一つの方法です。週3回とれるなら、長めの有酸素、種目に関係する筋持久力、ラン中心の日の3つに分けます。どちらも、まずは続けられる回数から始めましょう。
エニタイムなど普段のジムだけで練習できますか?
ラン、筋トレ、ローイング、ファーマーズキャリー、バーピーブロードジャンプなどは普段のジムでも練習できます。ボールを投げられるか、器具を引きずれるかは施設のルールによります。スレッドは代わりが効きにくいので、本番前に一度は実物で練習しておきましょう。
ダブルスなら、走る距離も分担できますか?
いいえ。種目は分担できますが、ランは2人とも各1kmを一緒に走ります。ペアで出る場合も、走る準備は必要です。
大会に申し込む前から練習を始めてもいいですか?
はい。先に器具や動きを経験しておくと、「何ができて、何が難しいか」が分かり、部門や大会を選ぶときにも役立ちます。
情報確認日:2026年9月25日。競技の説明は26/27シーズンの公式ルールブックに基づきます。出場時は最新のルールブックをご確認ください。
参考:HYROX Japan「HYROXに向けた最高の準備方法」 / HYROX Japan「フィットネスレベルをチェック」 / Red Bull「How to train for HYROX in just 3 days per week」 / Red Bull「How to train for HYROX, according to a HYROX coach and world champion」 / Red Bull「How do you develop skills for HYROX?」 / Red Bull「What is the Red Bull 100 Challenge at HYROX」